一人で行う建設業の労働保険年度更新

6月から7月にかけて年1回の大仕事 「去年の金額を確定して、計算した差額を清算する+新年度の概算を出す」作業

建設業は複雑で難しいのに外注する余裕がないので(私含め)やらされている人は多いんじゃないでしょうか。私も最初は意味不明で作業がツラかかったので同じような人を救うため(おおげさ)ちょっと遅いけど30年度更新について書いてみた。

小さな工務店・現金納付の場合です。会社が違えば同じようにはいかないと思いますので参考程度にしてください。 兼務役員がいる、64歳以上はいない、全員雇用保険に入っているパターンです。 どこかのだれか、私みたいに一人で困ってる人!手引きを見ながら書けばできます。

建設業の年度更新

建設業は3口に分かれており、労働保険番号も別に割り振りされてます。他業種は、1枚の紙で雇用保険と労災保険を記入できるようになってるはず。

[yellow_box]①雇用保険(全員)手引きの色:水色 ②労災保険(事務)←現場以外の人間の労災 手引きの色:濃い緑 >どちらも給与と人数で保険料を計算する(Excelの書式を利用) ③労災保険(現場) 手引きの色:オレンジ >一括有機事業報告書の作成が要(これが時間がかかる)[/yellow_box]

[blogcard url=”http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yousiki.html”] 上記URLから「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」と
下の(年度更新申告書計算支援ツール)から 年度更新申告書計算支援ツール(建設事業用)をダウンロードする。

これはもはや必須です。


去年からの変更

保険料率が変更されています。することは同じです

事前準備・手順など

  • 慣れれば3日位でできますが、作業の余裕を1週間みておく
  • 【超重要】事前準備として、工事台帳を完璧にしておく(開始日・完成日の抜けがないように)
    • 日々やっておかないと大変!私はこれと銀行提出のためだけに日々台帳をエクセルで作成しています
    • 会社の会計期間と「年度」が違うので前期と今期の該当箇所を合体して一つのファイルにしておく
  • 給与一覧も、エクセルファイルに落として合体してもいいが、なんとか手計算でできるかな・・・合体してファイル作る手間と手計算でどちらが早いか。
  • 順番は以下の順で行ってます

賃金と人数を集計する

先に確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表.xlsxを仕上げます

社長(代表)や役員(取締役)は雇用保険にそもそも入ってないので集計しません。

左側は事務労災のための集計。工務等は含まない。 営業や事務員の給与支給額を足して記入していきます。

労災保険も役員は対象外。でも監査役や兼務役員は、報酬を除いた労働者としての賃金分を◇2へ記載。 働いてるけど雇用保険に加入してない人は◇の3に記載

 

集計は、手計算でできなくはないですが、給与計算ソフトからエクセル出力(給与月選択画面でファイル出力)してエクセルで串刺し集計した方が早いかも。 交通費や各種手当も含みます 計算期間は会計期間と別で年度なので、前年4月から今年の3月までです

 

次は右側

雇用保険に入っている人全員を書きます。 ◇8は満64歳以上は免除されますよってことでここに記載します。

集計して、記入が済んだら自動計算なので転記していくだけです。 ちなみにこの用紙は提出しません。

雇用保険の書き方

申告書用紙は字の色が紫のやつ。概算より不足のケース・3回分納パターン。

さきほどの表から指示どおり転記します。 建設業の場合は全部転記せず、雇用保険にはここだけ記入します 「常時雇用者人数」はここは空欄でいいのに間違えて書いてしまってますね

仮に⑧(ハ)が1234万円だとしたら、12,340,000×12÷1000で、確定保険料が14,808円になります。右側の黄色いところは14,808と記入します。 業種によって数字が違うので印字されている料率で計算してくださいね。

下の欄・概算は、上の確定と同じ数字にします。(人数が変わってるから増えるのでは?と計算する必要なし) 概算の記入・計算は確定と同じです。 今年は同じですが、来年度料率に変更がある場合は保険料率の数字が違うことがあります。

次に、去年の申告済みの印字された金額から過不足を計算します 印字された「⑱申告済概算保険料額」から「⑩確定保険料」を引きます ⑩より⑱の方が多ければ差額を(イ)充当額 へ記入 ⑱より⑩の方が多ければ差額を(ハ)不足額 へ記入

⑭の(ホ)が20万円以上なら3回に分けて納付できます 20万以下なら一括納付です ⑰に1か3を書き入れます 3回分納の場合、3等分して㉒の縦に書き入れ(概算保険料額を3分割して1円か2円余ったものは1回目に加算) 一括なら1行目だけ 過不足も計算(右へ右へと計算)

㉛に法人番号欄が28年度確定分から記入するようになってます ㉕は「建設業」 ㉙ゴム印(複写式で2枚目が控えですがめくって押しとこう)

 

 

「記入例は確定と概算が同じになっているが、今年は明らかに人数が減って(増えて)いるから概算金額を減らして(増やして)も良い?」

[wp-svg-icons icon="arrow-right" wrap="i"] 問い合わせしたらよほどのことがない限り同じにしてくださいと言われました

 

 

事務労災の書き方

前年記入分を参考にしながら、さきほどの雇用保険と同じ計算書をもとに記入します 今度は計算書の左側と、右下の労災と一般拠出金欄をここに書き写します

今度は1回納付のケースです。

転記する数字と場所が違うのと、一般拠出金があるだけで流れは雇用保険の申告書と同じです

申告書も⑧の(ロ)と(ヘ)は同じものが ⑩の(イ)(ロ)も同じものが入り 計算した1円未満は切り捨て

概算の欄もそのまま上の数字をスライド (⑫のロ、⑭のイとロ)

⑳も雇用保険と同じです ⑱の印字の方が多ければ(イ)充当 少なければ(ハ)不足

㉒も雇用保険おなじく20万以下は一括納付です 書き方は同じですが一般拠出金があります。(ヘ)に上の⑩の(ヘ)の金額を記入し、加算します

㉕は「16前各項に該当なし事業」です

あとは郵便番号、電話番号、会社のゴム印 雇用保険と同じです。

 

「役員を間違えて集計してしまった」

[wp-svg-icons icon="arrow-right" wrap="i"] 提出前なら直しましょう。計算書は提出不要なので作り直して、申告書は訂正印不要で訂正できます。納付書は訂正不可なので労働局まで取りに行かないといけないです。 納付後なら、後日めっちゃ面倒な書類作成が必要ですが労災保険の還付処理できます 兼務役員は役員報酬分を除いて計算します。給与のうちいくらか役員報酬として設定してあるはずです。もちろん事前に届け出が必要です

 

現場労災の書き方

工事一覧を作る→一括有機事業報告へ転記する→申告書へ書き写す

の順です。(会社の期が3月~4月ならばまだしも)日々工事台帳を付けていないと詰みます。今更去年の工事の開始日とか覚えてないし、日付をちゃんと入れていたら抽出が楽です。

賃金で算出とかメリット制とか知らないんでよくわかりませんごめんなさい

台帳を整理する

先に工事実績報告書を作りたいので、前期の4月から今期の3月までの工事台帳を作成します 4月~3月に終了した工事が対象なので、3月開始4月完了のものは含み、完了が3月以降のものは除外 エクセルで作業用にひとつにまとめて、不要なものは削除しておく (当たり前ですけどコピーして使いたいのでセルは結合しないでおく!)

計算支援ツールに転記していく

上記厚生労働省のサイトから 下の(年度更新申告書計算支援ツール)にある 年度更新申告書計算支援ツール(建設事業用)をダウンロードする

事業主控シートの1枚目に労働保険番号や会社の情報などを入れる そして先ほど作った作った一覧から工事名、住所、金額をコピーして入力していく

[wp-svg-icons icon="notification" wrap="i"] 入力の注意事項

  • 期間はコピーできないので手打ち(もしくはエクセル作業用シート作成時に着工日・完了日を区切り位置で区切る)
  • 結合していないセル→結合してるセルにコピーする(xlsx→xlsxの場合は普通に貼り付けれるはず)ため、うまくいかない場合はは、クリップボードソフト「Clibor」を使ったり、「数式の貼り付け」を使う(マクロでボタン化すると早い)
  • 金額は税別
  • 請負代金の額 だけ入力する
  • 3月開始4月
  • 500万円以下の工事は「ほか○件」と書いて合算可。その際の住所は代表の工事名の工事場所のみ記載する
  • 新築(事業の種類35)とリフォーム(38)は別の紙になるように分ける
  • 下請け工事は含まない

 

印刷する

入力が済んだら、一括有期事業の正・副・控えと一覧の総括表3枚を印刷する (総括表は数字が自動で入ってます) 会社名のところに印を押す

申告書へ転記する

申告書へは印刷できないので、記入イメージシートを見ながら記入し 右下の29番事業主も書き入れる

①雇用 3回分納不足 ②事務労災 1回納付不足 ③現場労災 3回分納充当 のパターンなので書き方参考にしてくださいまし。 ちなみに20万円以上でも一括納付してもOKです。

納付書の書き方

3枚とも、記入・押印後 (一括有機事業報告にもすべて押印) ウラ(下)にくっついている納付書にも記入する(納付書の下の方に記入の仕方がある) 口座振替をしていたら記入不要。表面の提出のみ。

口座振替をしてない場合、現金で7/10にこの金額を納付する。

分割納付の場合、2回目以降は納付書が送られてくる 万が一に数字が違う場合は電話がかかり、正しい数字が記載された納付書が届く

提出

3日間合同庁舎で受付がある。 が、受付では基本判をもらって数字がおかしくないかザっとチェックがあるだけ。なので郵送提出でOK

半分に折られている納付書部分を切り取る→10日に支払い (切り取らずに銀行やゆうちょ銀行へ提出することも可能だが、建設の一括有期事業報告書と総括表は受け付けてもらえないため、建設業はいずれにせよ持ち込みか郵送が必要となります)

申告書(1枚目)3種類、一括有期事業報告書正副、総括表 (申告書の3枚目は背表紙のような裏紙なので捨てる) 控えに印が欲しければ、控えもと切手を貼った返信用封筒を同封して郵送する。

提出は労働局の徴収課宛。送られてきた封筒の表にありますよ。 もちろん労働局持ち込みでもOK

以上です。1年に一回で慣れるまで大変ですが、10日までもう少しありますので頑張ってください。